一遍聖人忌

 

 

 坂村眞民先生 人生最期の書 「円相」

 

 

 

               一遍聖人忌

 

 本日は一遍聖人が亡くなられた日です。一遍はまことに誠実なお人柄で、一所不住とし、九州各地から奥州まで遊行して歩き、特に平安中期の空也の生き方に傾倒し、南無阿弥陀仏を理論から実践中心に生きた浄土信仰の求道者でした。時宗創始者とされているのですが、箱根駅伝で必ず選手たちが熱戦を繰り広げる権太坂に、時宗総本山である遊行寺がありますが、このお寺は後世江戸時代になって集約され出来たもので、旅から旅へ、踊念仏を実践した一遍には恐らく我が本意ではないのではと思われてなりません。死が迫って来て、弟子にあらゆる書き物を焚書させた清廉潔白な聖人です。名誉も地位も全く頓着することがありませんでした。文永8年(1271年)32歳で二度目の出家した後、信濃の善光寺や伊予国の窪寺、岩屋寺でも修行致します。文永11年(1274年)には四天王寺(摂津国)、高野山(紀伊国)など各地を転々としながら修行に励み、六字名号を記した念仏札を配り始めるのです。紀伊で、とある僧から己の不信心を理由に念仏札の受け取りを拒否されると、聖人は大いに悩みましたが、参籠した熊野本宮で、阿弥陀如来の垂迹身とされる熊野権現から、衆生済度のため「信不信をえらばず、浄不浄をきらはず、その札をくばるべし」との夢告を受けたことから尚一層の自信を深めたものと言えます。この時から『一遍』と称し、念仏札の文字に「決定(けつじょう)往生/六十万人」と札裏に追加して配り歩きました。これをのちに神勅相承として、時宗開宗のときとし、建治2年(1276年)頃には同じく意念仏勧進して歩いていた他阿らと会い、彼らを時衆集団として引き連れるようになったようです。面白いことに、法然や親鸞の専修念仏と違い、融通念仏とでも申せましょうか。広大無辺な境地に達しています。然も禅宗から印加を受けていることもよく知られていることです。そう言えば一遍聖人には、何処と無く禅的で、独特な清潔感があるのはこのためではないでしょうか。小鳥のように歌いたいお空で歌い、踊りたい時に踊り、行く先々にも拘らず、明恵とよく似た潔癖な部分が、私は大好きです。

 

 

 一遍聖人の書 「南無阿弥陀仏」 如何にもお人柄が表現されて余りある

 

 この一遍聖人を愛してやまなかったのは、故坂村眞民先生でした。拙ブログ・<硯水亭歳時記 Ⅱ>の記事、『坂村眞民先生の忌日を「たんぽぽ忌」と呼びたくて』は、坂村先生と一遍聖人のことを書かせて戴いたのでしたが、考えてみると先生がいつも口にされていた「念ずれば花開く」のご真言は、一遍聖人の「南無阿弥陀仏」のご真言に限りなく近いように思われてなりませぬ。モノに拘らず、縹渺として生ききる覚悟を、一遍聖人も坂村眞民先生も、私たちに教えているようでなりません。尚このブログ名は「朴の木 たんぽぽ」としてありますが、坂村先生が愛した朴の木と花と、終生住んでおられた「たんぽぽ堂」にあやかって名付けられたブログであることを恥じながら告白しておきます。 

                  

     「一遍智真」 (坂村眞民 作詩)

 

         捨てて果てて

           捨てて果てて

      ただひたすらに六字の名号を

      火のように吐いて

      一処不住の

      捨身一途の

      彼の狂気が

      わたしをひきつける

 

      六十万人決定(ひつじょう)往生(おうじょう)の

      発願(ほつがん)に燃えながら

      踊り歩いた

      あの稜々(りょうりょう)たる旅姿が

      いまのわたしをかりたてる

 

      芭蕉の旅姿もよかったにちがいないが

      一遍の旅姿は念仏のきびしさとともに

      夜明けの雲のようにわたしを魅了する

 

      痩手(そうしゅ)合掌

      破衣跣(はいはだし)の彼の姿に

      わたしは頭をさげて

      ひれ伏す

 

 

 ひっそりと はぜらんの咲きており

 

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