初女さんのいるお山

 

 

 岩木山 春景色 (スケッチ帖より)

 

 

 

初女さんのいるお山

 

50代で、ご主人に先立たれ、80を過ぎてから、我がイノチと引き換えに産んだ一人息子に先立たれ、

それでも佐藤初女さんはくじけなかった。ご自宅で「弘前イスキア」を発足させ、そして今はこのお岩木山の麓に、

舟形をした「森のイスキア」がある。全国から悩みを抱えた人たちがやって来ては初女さんに打ち明けて行く。

そこで出て来るのが初女さん手作りのお料理であるが、中でも最も印象的なのは「オニギリ」だ。

どうしたら、こんなに美味しくご飯が炊け、ふんわりしたオニギリが結べるのか、不思議でならなかった。

青森産の海苔の香も最高だ。豪勢な懐石料理より遥かに私の舌をうならせ、心を激しく打つ。

 

私はいつも八月末にある岩木山神社の「お山参詣」の際、ここに投宿するの常だが、

カトリック信者である初女さんの元気の源は何だろう。逆縁(子供から先立たれること)の辛さを両手の温もりに換え、

「いつもあなたといる」からだと言う。岩木山の山麓にへばりつくように建つ「森のイスキア」。長い冬の休館を越し、

園内のあちこちで採れる山菜など、きっとテーブルを賑わせているだろう。私が帰る時イスキアの鐘が鳴る。

お山参詣用の長い篠笛を取り出し、車中で、哀調を帯びた「お山参詣」の笛を奏でる。カトリックと山岳信仰に思いを馳せ、

サイギサイギ(懺悔懺悔) ドッコイサイギ(六根懺悔)と、初女さんのご健康を、私ながら心の底から祈り申し上げつつ。

 

 

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