季節の薫り

 

 

我が家の花壇にて 都忘れや勿忘草など

 

 

 

                   季節の薫り

 

 

 今年ほど櫻の花を見歩くことはなかった。専らイクメンに専念したためで、奈良県の古木数箇所や、京都ではごく僅か。僕たち家族にとって定番となっている小石川植物園の櫻や皇居・北の丸公園など、そして二人の子連れで急ぎ旅をした北海道・旭川の旭山動物園行きのついでに、数箇所で見た蝦夷山櫻など。邸内に咲く小彼岸や山櫻は言うに及ばずだが、通常の年から見たら考えられないこと。でも二人の子供の面倒をみて、学究者としての妻の時間を増やしてあげるためで、このように書いていても、実は全く愚痴ではないのである。育児をする楽しさは何にも替え難い。冷静沈着で一人遊びが好きな姉と、喜怒哀楽を爆発させ、火の玉のような弟と、どちらを見ていても飽きないのであり、自宅付近広尾の近辺にある小さな公園デビューもしている。生命が生まれて来る不可思議さを女人は誰しもが持つ。私はその奇跡をじっと受け止め、驚嘆と感謝の念に堪えないでいる。寒い春であったが、櫻も見事に咲き、念願の櫻塾開校も終えた。時が移るのは早いもので、今日の小満は何と30度を越す夏日。初候の本日は蚕起食桑(かいこおこってくわをくらう)と言い、盛んに蚕が桑の葉を食べると言う。そう言えば先日皇后陛下が御所にある御養蚕所で、日本古来の蚕・小石丸に桑の葉を与えていたというニュースを耳にしたばかりだ。そして21日の皇后さまは午前中に、皇居・紅葉山御養蚕所で、繭を作る直前の蚕を、わらなどで作った網に移す「上蔟」と呼ばれる作業をなされた。皇后さまは約7センチに成長した蚕を手のひらに乗せ「良いおカイコさんね。もう糸を吐き始めていますね」と話しながら、ご丁寧に網にお移しなされた。網は皇后さまがお手作りなされたものだ。このお蚕は日本古来の「小石丸」で、1匹が約500メートルもの絹糸になると言う。こうして御養蚕は明治時代から歴代の皇后陛下が受け継いでおられるようだ。反物にした絹は、奈良・正倉院の宝物復元や、海外元首への贈り物に使われてきたものである。

 あんなに気を悩ませた櫻の季節が一瞬にして終わると、山々の緑が様々な緑となって、櫻花が去った後の淋しさを癒してくれる。その上あっと言う間に花々が変化し、より一層庭木の緑が濃くなり、緑の色彩は均一化してくる。庭の片隅に見遣ると、既にドクダミの十字花や、豪華絢爛たる色とりどりの芍薬やアイリスや紫露草も見えている。旭山動物園で、珍しく大興奮大感動した長女は頻りに犬を欲しがっていたから、何度か散歩がてらに犬の展示コーナーに連れて行った。姉はチョコレート色をしたトイプードルがいいと言い張り、弟のほうはブチ色のコーギー犬がいいと言う始末。仕方なく二匹同時購入し、当家の家族と相成った。長女は寝る時も抱っこしたまま可愛がり、一方弟のほうは半ば捨てばちで、専ら私が面倒を見ることに。教えて戴いた通りに、おしっこの癖付けなど漸く馴れて来たようだ。ヨチヨチ歩きの弟は、自分の愛犬を叩いたりしていけない子だ。まだ一歳になっていない子犬と何とか仲良くして貰いたいと念じている。子供も子犬もどうやら一人ででも大きく成長するように思えてならない。そろそろ東京国立博物館のユリノキが咲き出すことだろう。当家では泰山木の真っ白な大きな花が豊かな薫りがしてくるだろう。梔子や枳殻の花も咲くだろう。そう言えば麦秋に入っているのだろうか。

 

  今日からのBGMは 多夢さん作曲の 『時の散歩道』

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