龍安寺 冬から春へ

          今年 初雪が降った日の龍安寺石庭(Youpvさんの写真から)
 
 

 

 

龍安寺 冬から春へ 

 

 

世界遺産の一つ 名刹大雲山・龍安寺は臨済宗の大寺で 世界的によく知られている

その名を一層高め広めたのは 他でもない 禅寺らしい思慮に満ちた石庭の存在が大きい

方丈に佇む 石庭は佇む場所とは違う この意味するところは何なのか 今もって明らかではない

その上作庭したのは誰だったのか いつだったのかも判然としていない 謎に満ちた石庭なのである

御寺では 個々の方々に自由に解釈し連想して戴いていいと言う 五つの石の塊は何を意味するのだろうか

中国の五岳説や禅の五山説 心と言う字の配置ではないかと言う説 一般には『七五三の石』とか『虎の子落とし』の石とか

私はいつも 先ずまっさらになって方丈に座し 僅か七十五坪しかないけれど 大きな世界観を感じさせる石庭と対峙する

座すこの場所は此岸であり俗世である 一歩石庭に踏み入れば彼岸であり 清浄なる理を持った大宇宙の仏法の世界である

不思議なことに 次第に自分が小さく見えて来る この大宇宙の理の中で 私は未だに塵や芥にもなっていないのではないかと

そしてゴーギャン生涯の大作の表題風に言えば「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」と

何遍でも自問自答し 石庭を観ている 油土塀の隅々から 石塊の配置から そして方丈より仰ぎ見る空の果てまで

それが春夏秋冬 いつの季節でも迎い入れてくれる 厳しい寒さの中 敬慕するYoupvさんが今年の雪の日に撮ったのが 上の写真だ

厳しく 自己を見詰める機会を与えてくれている石庭 真冬の京都は何て素敵なのだろうかと感嘆するが 時に優しく

 

 

                                          雪の龍安寺と同じ位置から撮った枝垂れ櫻

 

春になると 油土塀越しに 美しく咲いた江戸彼岸の枝垂れ櫻が顔を出してくれる 

これはYoupvさんの雪の石庭とほとんど同じ撮影ポイントであろう

櫻は まさに石庭の大宇宙の彼方に 弥勒菩薩さまや観音さまがご出現なされたかのような 花びらが微笑み掛けてくれる

 

方丈から出ると直ぐ右に 勅使門がある そこにある扁額に『結果自然也』と大書してあるが これは禅語で

本来は「結果自然(じねん)成就也」 であろうか 天然自然には摂理があって 人が為す努力が嵩じ 二つ相俟って 

初めて菩提(さとり)が得られると言う意味であろう 人は小さいながらも人が為すべき仏の道をしなければならないとも

 

又方丈裏手には 徳川光圀が奉納したとされる蹲踞(つくばい)がある  「吾唯足るを知る」をデザイン化したもので

口の字を中央に配置し 真上に「吾」 右横に「唯」 真下に「足」 左横に「知」 四文字に共通する口の字を共用として一つに纏めあげた

これは釈尊が説いた佛教の真髄であり 「知足のものは貪しと言えども富めり 不知足のものは富めりと言えども貧し」と知足の心を教えている

                               徳川光圀寄進の蹲踞(つくばい)

 

それから直ぐその脇の 庫裏よりの位置に 朝鮮から初めてわが国に 侘助と言う人を通じてもたらされたと言う侘助椿がある

今年は暖冬なので 今ごろ楚々として咲いているだろうか 利休翁がこよなく愛した椿の名椿である 半開きで満開 節度を思わせる

 

櫻が終わって 油土塀(土に菜種油を入れ捏ね 強度を増した土塀)を 石庭の裏側に廻ると 美しい石楠花の花々が咲く

又その道なりに進み ひょいと右奥を見ると 何と櫻の苗場があって 枝垂れを始め 各種の櫻木が大切に育てられている

鏡容池の周りを周回すると 大きな古木の藤棚もあり 往時この池で公家たちが管弦などをしながら 船を出したと言う

禅寺ながらそこここに華やいだ趣向があるのは 名刹たる所以だろうか いつでも行きたくなる御寺の代表格だろう

 

それにしても嫌な暖冬である 嘗て恐竜たちが一瞬にして絶滅した時のように 人は自ら墓穴を掘って滅び去るのだろうか

自然の摂理を畏れず強引にねじ曲げている 発展途上国ならいざ知らず あのアメリカが京都議定書にサインしていない

この頃かの国が言う『民主主義』の言葉が空々しく聞こえて来る事が多い 戦争をしなければ経済が成り立たないのかと疑ってしまう

物質文明の果てに このままなら世界が砂漠化し 灼熱地獄になるか エゴだけの核戦争で一瞬にして消滅してしまうか

或いは自然の治癒力がなくなり あらゆる手段でも決して対応出来ないウィルスが蔓延し 人類の滅亡が来るのであろうか

厳しい真冬になればそれでいい 龍安寺で座禅を組むような気持ちで 方丈から石庭を眺め 寒さの中をじっと耐え 春を待ちたいものだ 

 

 

 

http://www.ryoanji.jp/  龍安寺公式ホームページ

http://youpv.exblog.jp/  京都の写真 中でも寺社の庭園撮影に掛けては抜群のYoupvさんのブログ

 

 

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