御弓師(おんゆみし)

                                                    平成二十五年 内宮 御遷宮所

 

 

御弓師

 

 

『御弓師(おんゆみし)』と言う栄えある称号を胸に 弓のお仕事をされていることを聴いたことが御座いますでしょうか

これはひと言で言えば 千三百年に亘って二十年に一度 営々と現在まで続いて来られた伊勢の神宮の式年遷宮に 

御神宝として奉納される梓弓(あずさゆみ)を制作出来る日本で唯一人の方で 京都に在住しておられます

通常の弓は竹をしならせて成型して行くのですが 梓弓だけは 梓の木を丸のままで それから創られます

無論創り方は秘伝で 一子相伝で伝わって来たようであり 伊勢神宮では絶えることなく奉納されて参りました

その梓弓を創れる方を単に弓師ではなく『御弓師』と呼ばれ 現在では第二十一代柴田勘十郎師その人だけのことです

 

梓弓(あずさゆみ)とは 中国から渡来した当初武具でしたが どうも呪術的な意味合いもあって

梓巫女(あずさみこ)と呼ばれる霊能者によって 梓弓を弦として鳴らしながら 死霊や生霊と口寄せすることがあったようです

一種の祭祀関係の重要な祭具となったようで 「射る」「引く」「かへる」「張る」「本」「音」「矢」「末」「弦」などの枕言葉にも使われています

 

一方創り手の柴田勘十郎家は 初代は戦国時代の天文三年(1534)から 島津藩に伺候していたのですが

江戸時代になると京都に居を移したことから 徳川幕府のお抱え弓師となり その際に『御弓師』の称号を賜ったようです

更に明治二十二年明治政府によって 宮内庁御用達となり 伊勢の神宮・式年遷宮の御神宝である梓弓を創る御弓師となり

現代まで実に五百年近くある歴史の御弓師で 何故千三百年以上もの永い歴史の式年遷宮用の梓弓を創り得たのか

秘伝・口伝の中に その創り方が密かに伝えられて来たからではなかったかと驚異的なその創造性を 容易に察せられます

 

                   御弓制作現場

 

現在の御弓師である第二十一代柴田勘十郎師は 同志社大学を卒業後 先代のお嬢様と御結婚 それから弓の制作に厳しい修行を積み

そして前回の式年遷宮において 御弓を五十九張奉納することが出来 それを境に第二十一代目を継承し今に到っています

梓弓は当然我々の眼に どのような弓であるか窺い知れないのですが ノウゼンカズラ科キササゲ属の梓の木をどのように調達し

その工程は如何なるものであるのか 大いに興味がそそられるところですが 秘すれば花でいいのでしょう

気が遠くなるような永い歴史の伝統と伝承を思う時 これから先の継承伝達に如何なる困難があるのだろうかと

心情的には 願わくはこれから先も 営々と続いて戴けることを切に乞い願いたいものです

 

通常の柴田勘十郎作である竹の弓は その品格 厳しい美 何とも言えない壮麗な印象があり 素晴らしい気品のある弓です

 

第二十一代目柴田勘十郎師制作の弓 側面の杢(もく)と呼ばれる部分の美しさは他に類例がなく圧倒される筈です

                                                                                                                                      (2005/1/15)

http://www.shinise.ne.jp/highest/shibata/index.html 御弓師・柴田勘十郎師紹介記事

http://www.sengu.info/index.html 伊勢の神宮 式年遷宮祭サイト

 

 

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