正月事始め

 
 
 
 
 
 
 
 
正月事始め
 
 
 
 
 
正月事始めとは 十二月十三日の仕来たりのことで 「こと」とは お正月さまのことを意味し
 
つまりお正月さま(トシ神)を受け入れる準備を開始するの日のことであると言うわけです
 
 
 
 
先ずこの日は 『煤払い(すすはらい)』と言って 家中の大掃除をします つまり『邪気』を祓うのです
 
何故こんなに早く行われるかと言うと 切羽つまってでは他にやることが俄然多くなってしまうからです
 
この日は 今では都内では見られないですが 煤払い用の煤竹(すすたけ)売りが大声を張り上げて売りに来ます
 
煤竹と言うのは 竹の先端に葉を残したモノ 或いは葉をつけたままの竹で 天井などの煤払いに用います
 
煤払いの日には 老人・子供・病人などは別室に入れ 働き手が総出で大掃除をします
 
その為に 会社を休みにしたり 昭和の初期まではずっと続いた年中行事でありましたが 
 
今の生活様式は手軽にお掃除が出来て 比較的清潔だからそこまで必要がないのでしょう
 
 
 
 
煤払いが終わるとご祝儀酒がふるまわれ 煤湯(すすゆ)と言って 入浴して心身を清めます
 
言わば家中の汚れを清め 人々も斎戒沐浴して日本人の大切な神である
 
お正月さまと言うトシ神さまをお迎えするのに ふさわしい準備をするのです
 
 
 
 
又 関西の芸人達の間では この日を自分の師匠宅へ鏡餅を持って ご挨拶に行きます
 
特に 京都・祇園などには 今でもしっかりとその伝統が守り継がれています
 
今年9月に行われた井上愛子(四世八千代)の追善京舞が記憶に新しいのですが 芸妓さん舞妓はん達は
 
現在の井上八千代師匠(五世八千代 本名観世美千子)邸に赴き 午前中に全員がご挨拶をします
 
鏡餅を前にして「おめでとうさんどす」と挨拶が交わされ 芸妓はんや舞妓はんは お師匠さまから真新しい舞扇を戴いて帰るのです
 
今年一年の感謝の籠めた御礼と来年の深甚のお願いを 心を籠めてするのです 家元から戴く扇も なかなか風情がありますね
 
ところが祇園街を忙しく往来する舞妓はんや芸妓はんを狙って ところ構わずカメラ小僧が五月蝿くて可哀想になりますがね
 
 
 
 
お話が少々ずれましたので 元へ戻しましょう
 
つまり一家の働き手が総出で煤払いをすると言うことは 身も心も 普段住む場所も清潔にして
 
尋常ならざる出来る限りの誠意を示して 日本人の農耕の神として 又 
 
最大の守護神であるトシ神さまを お迎えしようとした心掛けからでありました
 
我々の祖先のトシの神さまは 罪 咎(とが) 穢(ケ=けがれ)を一切嫌い
 
清潔な場所にしか降臨されないと信じられて来ました なかなかいい伝統でしたね
 
 
 
 
おこと汁と言うのは サトイモ 大根 ニンジン 小豆などを入れた汁料理もことですが
 
この煤払いの日に ふるまわれたご馳走でありました 食材にはそれぞれの言魂(ことだま)があるのは言うまでもありません
 
いずれにせよ この十二月十三日をもって お正月の支度の為のおことが始まったのであって これを以って『事始め』と言います
 
『煤払い(すすはらい)』で 邪気を祓うのですが これを『煤掃き(すすはき)』と言う地方もあるようです
 
更に こんなに早い大掃除では 又汚れてしまうよと言う向きには 神棚や仏壇の掃除に留め 大掃除の歴史は
 
次第に年末近くまでずれ込んで来たようです 今や奥さまだけの仕事みたいになっていますが 飛んでもありません
 
大切なトシ神のお正月さまをお迎えするのですから 一家の大黒柱が先頭に立たなければ始まらないのです
 
神を迎える準備の日だから 門松やお雑煮を炊く為の薪取りなどで山に行ったり 男性人の活躍が不可欠でした
 
 
 
 
 
面白いことがあります 江戸中期頃まで使われていた宣明暦では 旧暦十二月十三日の日が 二十八宿すべて
 
必ず鬼になっており 鬼の日は婚礼以外 何をするにもいい吉日とされていました 従ってトシ神さまをお迎えする準備には最高で
 
そんな理由から言っても この日を選ばれたようですが その後の暦では 暦と二十八宿が一致しなくなった為
 
正月事始めの日付だけは こうして十二月十三日だけ取り残されて 今日まで到ったと言ってもいいかも知れません
 
 
(注;二十八宿とは 東洋にある占星術のことで 月が太陽を一回りしたのを二十八等分にした暦の原点の一つです)
 
                                                                                                                                   (2004/12/6)
 

                                 祇園・辰巳大明神さますぐ傍の巽橋 『雪の巽橋から白川を眺む』

 

面白いことに丁度この日、西洋では『聖ルチアの日』とされています。聖ルチアとは、眼・ガラス・農業の守護聖女のことで、

婚約者を捨ててキリスト教になったのでしたが、婚約者は彼女の眼の美しさを忘れられず苦しんでいることを、ルチアが知り、

何と自分の眼をくり抜いて彼に送ったそうです。それに驚いた彼も、その後にクリスチャンになったと言われています。

スウェーデンでは、クリスマスに若い女性が『ルチアの花冠』を被って、パンとコーヒーを恵まれない人々に配る習慣があると言います。

尚、これをアップした本日十二月五日は、あのモーツァルトの忌日です。今年一年のモーツァルト大狂騒を思い出されてなりません。 

 

今夜は満月につき、千住明作曲の『月光の影』の一部をバックに流させて戴きます。

                                                (補足として、本文祇園の一部分とルチア伝説のことは、軒下が記す)

 

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