入江泰吉氏のご自宅

 
 
 
 
 
 
 
 
入江泰吉さんの写真 
 
 
 
 
 
上記の写真は 写真家・入江泰吉氏の奈良市雑司町にあるご自宅である 
 
そもそもこんな文化財だらけの真っ只中に ご自宅があるのは まったくの奇跡的なのであろう
 
二月堂の直ぐ傍であり 東大寺の裏側にあたるであろうか 庭先すべてが文化財ばかりだ
 
周辺は それこそ古寺・古社ばかり集合していて ほとんどが東大寺関係の寺社なのであろう
 
奈良をテーマに写真を撮り続けた写真家 入江泰吉と土門拳 お二人とも大家であるが 
 
実はまったく対照的なお二人なのである しっとりとした出来栄え写真の入江氏と徹底した形相のリアリズムである土門氏と
 
下図にもある通り 後年 二人展が企画され 大賑わいであったと聞くが そりゃそうだろうと 大いに頷けた
 
 

 

土門拳のことは このブログで 2006年2月7日掲載で 『土門拳と雪の室生寺』で書いたが

入江氏のことはまだだった と言うのも 実は入江氏の作品も大好きなので いつかは書こうと思っていた

入江氏の写真は ほとんどが静謐な写真が多く 叙情性たっぷりに視覚化され 情念を大切にした

入江氏は明治38年奈良で生まれ 土門氏は明治42年山形で生まれて ほぼ同世代と言えそうだが

奈良に目をつけたのは 土門の方が早かった 昭和14年初めて訪れた室生寺にすっかり取り憑かれてしまった

それまで 誰も見向きもしなかった室生寺が 一躍脚光を浴び 今日の目線の定着に繋がった功績は大きい

 

方や入江の方は 奈良市で生まれたものの 永い間大阪で写真店を開いていた 

ところが昭和20年に戦災にあって すっかり焼け出されてから 故郷奈良に帰らざるを得なくなったが

その時 戦後賠償の一環として 多くの仏像や美術品が アメリカに持ち出されると聞くや否や 居ても立ってもいられない心境になり

ついに大和の風景や伝統行事や万葉の花々などを 精力的に撮り始めることになった 特に佛教文化が花開いた頃の飛鳥・万葉から

天平時代に 大いに心魅かれ 大和の花々や佛教美術の創造期のエネルギーに着目し

じっと見据える静謐な表現方法に終始した だがどんなにか命がけの真剣さだっただろう

特に時間を掛けるのは方法と言うより信念であった 天皇や悲劇の皇子達古人が直接観たであろうと言う風景が現れるまで

物語性に没入するまで 何年掛かっても執念を燃やし続け待った 一枚の写真を撮るのに 数十年掛かったものさえ ザラにあったのだった

一方の土門は 対象を決死の覚悟で観続け 己がイノチと取替えっ子をするかのように 真剣な写実に徹底していた

手法は それぞれ違うが 二人とも命がけの真剣勝負であったことは間違いないことである

 

静の入江と動の土門と言う具合に よく対象的とされた お二人とも全身全霊を振り絞って大和路を撮り続けたのだから

お二人に取っては それぞれが それぞれに本望であったのだろう

 

入江氏の写真は 皆さんには馴染みがあるのだろうか

大きく引き伸ばすと ぼやけて来てしまうし 展示会から ちょいと拝借した為に 著作権の問題も当然あるであろうから

ここでは ホンのさわりだけ 小さな写真ながら それぞれ超有名な写真ばかり三点 入江氏の作品を敢えてここに掲載することにした

どうぞ ややご不便ながら 想像力を掻き立てて御覧願いたい

 

       しゃくなげの室生寺塔

 

      春めく二月堂裏参道

 

                                     宵月薬師寺伽藍 

 

 

心を落ち着けたくなる時 対象物と一体となって共に呼応し 静謐な入江氏畢生のこれらの写真を しみじみと鑑賞したくなるのである

入江氏のいいお人柄が どの写真からも彷彿として来て偲ばれ どの作品にも大変な愛着があって リアリズムに徹した土門氏に比べると 

まさに大和の人らしく 大和に根付き 対象物と共に呼吸し 古代に対し限りない慈愛の眼を持ち 何よりも愛惜の念でいっぱいに満ちていた

お二人ともそろって 菊池寛賞に輝き 共に勲四等を頂戴し 土門氏は平成2年 入江氏は平成4年にそれぞれが亡くなられた

古都をあますところなく 取り続けた巨匠二人の死は 計り知れない大打撃かも知れないし 未だに悔しさが残って仕方がないが

或る日 奈良・浄国院の入江氏のお墓を訪ねると 謙虚な入江氏らしく楚々とした小さ目なお墓で 

お線香を手向けようとして見ると 既にどなたかの御献花が添えられていた

 

                                                                (2005/3/22)  尚時間的ズレは 軒下が訂正す

 

 

http://www.kiis.or.jp/rekishi/nara/nara22.html 奈良写真美術館 入江氏の写真8万点が所蔵・展示されている 尊敬する志賀直哉旧邸と新薬師寺のそば

http://www.domonken-kinenkan.jp/ 山形県酒田市にある土門拳記念館で 7万点が収蔵され展示されている 鳥海山の全貌が見える素晴らしい場所に

 

     <緊急予告!>

明日11月25日 テレビ東京『美の巨人』で 入江泰吉「斑鳩の里落陽」が放映されます!

 

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