秋濤

 

 

秋濤(しゅうとう)

 

秋が深まって来ると 何とはなく海辺に行き 秋の濤を眺めてみたくなる

時折 低気圧や台風の余波があって 荒々しい海辺は人を寄せ付けない厳しさがあるからだ

秋から初冬にかけて吹く強風を台風などと言ってしまえばそれまでだが 

野分と言えば それなりの情緒があるのだろうか

猪(いのしし)もともに吹かるる野分かな (芭蕉翁)

鳥羽殿へ五六騎急ぐ野分哉 (蕪村)

 

そして曇りの日 海上から断続的に聞えて来る遠雷のような音 暴風雨や津波襲来の予兆ともいい そら恐ろしい

海上で強い風に煽られ うねりや風浪を作らせ 一気呵成に海岸に襲って来る

高々と盛り上がった波は 前方の空間を埋め尽くすように巻き込んでは崩れ行く

この巻き込まれた空気が波に圧迫され 隙間を求めて噴出する際に発するのが海鳴りである

時には その反響した音が数キロも離れた場所まで届くことがある

一発大砲を撃たれた轟音を発するようなものだ

そんな光景を まじかで 時には何時間も 茫然と観ているのが好きだ

自然に対し 傍若無人になった人間世界が いとど小さく見えた時 初めてを取り戻すような気がしてならない

                                                                                                                                        2004/11/2

 

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