山の芋

                                                       零余子(ムカゴ)の実
 
 
山の芋
 
山芋と言うと 一般的には よくスーパーで売っている長芋のことだろうが 
ここで言う山の芋とは 自然に自生している自然署(じねんじょ)のことを言いたいのである
自然署とは日本古来種で ジャポニカと言うくらいであるから それこそ縄文時代から愛され続けて来たものであろう
自然署の生えているところは 林の中でも容易に蔓(つる)が見えるから 直ぐに分かるが 採取するのは それこそ骨が折れる
細い鶴嘴(つるはし)スコップ等 取り手の方々のお好みで自分用に作られることが多く 芋一本丸のままで取るのは至難の業だ
それでもやはり永年の勘と技術によって この時期に多く採取され 出回って来る 私はニンマリとして人伝にどうにかそれを手に入れる
取り手の爺さん達の自慢げな相好を崩した顔が浮かんで来るから愉快だ そのくらい難しい 根元から引っ張れないのである
先ず根があるところから 少々離れて掘り始め 場合によっては3㍍~5㍍も掘る場合がある
クネクネ曲がった根に傷をつけないように 商品価値を下げないよう細心の注意を払って掘り下げ
細長くクネクネ曲がった自然署を 一本そのまま取れた時の嬉しさったら 格別の歓びなのだろうと思う
 
自然署とは ヤマイモ科ヤマノイモ属の多年草蔓草で 茎は細く 他の植物に依存して からまって十数㍍も伸びる 地下茎は5㍍以上も
夏 白い可憐な花が咲き 秋には葉腋に小さな黒褐色の実をつける これが零余子(ムカゴ)と呼ばれる実である
蔓を引っ張ると 容易にポロポロと地上に落ちるが 落ちた零余子は それぞれ年数を掛けて 再び山の芋になるのでる
でも大抵は人間が拾い集め食べてしまう 串刺しにし付け焼きしてもいいが たくさんあれば焙烙(ほうろく)で炒って軽く塩して食べるのもいい
零余子と生姜を炊き込みご飯にして*物相(もっそう)にしたのは 如心忌(じょしんき)で出される茶懐石の決まりになっている
完璧なまろやかさと臭味のない濃厚な味は格別に美味しいし 貴重な味わいとなっている
 
これに対して 長芋とか 捏ね芋(つくねいも)とか 手芋とか 扇子芋の小形版である銀杏芋(いちょういも)とか 総じて外来種の栽培された芋で
多くのスーパーで容易に手に入るのであるが 関東では長芋・手芋が定番で 関西では丸い捏ね芋が定番であろう
長芋は濃厚ではなく 直ぐに味付けして食すことが出来るし 短冊切にして揉み海苔を掛け酢醤油で味付けし お酒のアテにもなろう
やや濃厚で ひね生姜のような手芋や銀杏芋は 元は仏掌芋のことで 改良に改良を重ねられて出て来たものである
関東で言う大和芋とは これらのことで 普段「とろろ」として食するのは これが大半であろう 味もなかなかなものである
捏ね芋は 皮が黒く丸い加賀芋と 皮が白く丸い伊勢芋があり 関西ではこれが一般的に大和芋と呼ばれている
この種の芋は 濃厚でそれだけでは食せない 割り下にする味醤油かお酒か出し汁を大目に入れながら 食べやすい堅さにする
更に知識として 九州には大署(だいしょ)と呼ばれる巨大な山の芋がある 南方出身で 大きな場合40キロにもなろうか
 
栄養価は 澱粉分解酵素のアミラーゼ(ジアスターゼ)がたっぷりとあり ネバネバ成分のムチンと言う糖蛋白質もあり 栄養満点であろう
消化吸収がいいので 麦飯などの 消化が悪いものとの取り合わせも好まれている 御飯をかまずに何杯でもいけていい 精もつく
 
旬は10月末から 年明けの2月ぐらいまでだが 貯蔵して置くほどにアクが抜けて来るから 2~3箇月は冷蔵保存は大丈夫だ
すり下ろす時 金属製のおろし金は止めた方がいい 変色するし 目が粗く美味しくない 陶器製のおろし器を使うか
擂鉢(すりばち)の目で 丁寧におろしたい その上 出し汁を差し入れながら 当たり棒で擂ると最高の出来となろう
それと手が痒くなるから嫌だと言う向きの方には 皮をはいだ後 酢水で 芋の表面を洗うことをお薦めしたい
痒くなるのは 皮付近にあるシュウ酸カルシュームの細かい結晶が手に刺さる為で 酢によって防げる
 
江戸時代 とろろに大目の酒を入れ それを『芋酒(いもざけ)』と称し飲まれ 珍重された
「一夜で5~6人乗りこなすのもわけぇや」と 馬鹿な!あはははは!!!
 
                                                                                                                                                                      2002/11/3
 
 
 
  *物相(もっそう)とは 木型の道具のことで 一般的には丸く盛りきりにした御飯のことを言う
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