帰宅

 

 

 

 

帰宅

 

 

梅雨の中休みで カッと照り付ける正午前 普通のようにして帰ると

先ずお仏壇と神棚に向かって祈り 無事の報告がてら 焼香をした

 

いつもの通り お帰りなさいと言ったっきり 

そそくさと作業をしている年老いたお手伝いさん達三人

 

お昼は 冷麦でもよろしいですかと聞かれたので

うん 皆で食べようね お願いしますと言い 

間もなく三人とも メーンテーブルに招き入れ

四人で 無口のまま 食事を始めた

久し振りの四人

 

すすっと音をたて 麺を飲み込むと同時に

一瞬のことだった 一番若い婆ちゃんが ふと ぽろりと涙を零した

それにつられたのだろうか 堰を切ったように 皆がどっと泣いた

後は 言葉にならなかった

 

席を立って 一人一人肩を 後ろからそっと抱いた 

淋しい思いをさせて 御免ね

 

看取ってあげるべき私が こんなんじゃいかんなと

こころのなかで 私は 真剣に詫びた

 

庭を見ると 泰山木の白く膨らんだ花芽が

まるで既に芳香を放っているように 大きく見える

 

満開を過ぎたのは ガクアジサイ

今を盛りに咲いているのは 合歓の木か

 

入院時は 櫻満開の時

季節の移ろいの激しさを 無常と言えよう 否応なく感じた

 さぁ リハビリを始めよう

 

 

 

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