花の美しさに序列はない

                                   ねじり花
 
 
 
 
花の美しさに序列はない
 
 
 
 
 次は子守唄でも書こうか 考えている最中に 不図思い出したことがある
 
戦後間もなく 山形県山元村と言う山村で起きた綴り方教室でのことで
 
先ほどさっと脳裡をよぎった それは 指導する教諭と43人の子供達の物語で 実話である 
 
無着成恭(むちゃくせいきょう)と言い 山形高等師範学校卒業の新進気鋭の指導教諭だった 
 
担任した村は 貧富の差が激しく 学力もみなバラバラであったのを 何とかレベル・アップしたい強い思いは 
 
当時東北の教育界で静かな運動になっていた綴り方教室に遭遇し 無着は目覚めた 
 
あっこれだと 無着は飛び付き 少しでも向上すること意欲を 教育の現場に熱烈に乞い願った 
 
最も重視したのは 作文=綴り方である 
 
無着の教育は どんな貧乏な子供にも ありのままの生活実感を書かせ 
 
自立心と向学心を養おうと躍起にならざるを得なかった 
 
生徒達は わらびなど山菜を取って 何十キロも離れた山形市までリアカーで売りに行き 
 
何とか自分達で得た収入でわら半紙を買い みんなで綴り方の本『きかんしゃ』を創ったのだ 
 
底なしの貧乏生活も 生き生きと表現されたり 見る見るうちに クラスが明るく楽しくなっていった 
 
戦時中 あらゆる感性が抑え付けられていた軍国主義教育の払拭も 大きな課題だった 
 
如何ともし難い学力の格差 学校より労働力と言われるように 村は必死にならなければ食べていけなかった 
 
おまけに戦争中の奨励でもあった子沢山の家庭が多くあって 実際は勉強どころではなかったのだ 
 
無着はそんな中でも 何とか夢や希望を見つけ出して行こうと必死だった 
 
ところが意外なことに 雑誌『きかんしゃ』は いつしか中央の教育界や出版会で大評判となり 
 
やがて『きかんしゃ』は『やまびこ学校』として編纂し直され 
 
全国的に出版され 挙句の果て映画も創られるようになるのである
 
 
 
 中にはこんな文章もあった 村一番に貧乏だった家に生まれた子が 
 
お母さんが薬代は勿論入院費さえ払えない状況で寝たきり 田んぼは田植をしなければならない 
 
そこでクラスの有志が集まって みんなで田植をして助けた時 
 
病床にいたお母さんが心から笑ったそうである 
 
それまで見た笑い顔のすべては 泣いている笑い顔で 
 
決して心の底から笑ったことがなかったとしか見えなかったと言う 
 
でもその死に際の田んぼの一件では 母は心から笑って果てたと 一生徒の寄稿した文の中身である 
 
実生活と教育の現場 それを真正面から向き合った試みだった
 
 
 
 でも映画になったり出版されたりするようになると 
 
逆に村の恥を 洗いざらい晒し 教師・無着だけがお金儲けしているのではないかと非難されるようになり 
 
無着は学校にいられなくなる そこで東京に出て マスコミの或る面では寵児と持て囃されるようになるのだが 
 
無着の教育に対する熱意と執念は一向に変わる事がなかった 
 
社会への熾烈な競争 そこから生まれる点取り合戦や学力重点主義 
 
逆に学校の格差をなくそうとして 学区域の廃止などもあった 
 
ゆとり教育があったかと思うと 今度は学力を上げなければならないと言う 
 
教育の均衡ではなく 今度は特色を出して 徹底した英才教育もいいと言う 
 
教育を指導する文科省自身が揺れに揺れて 丸っきり一貫性がないのだ 
 
一方では落ち零れた子供達が溢れ 今日の若年層の荒廃を生んでいる 
 
無着はただひたすら心の教育を訴えるのだった
 
 
 
 子供の荒廃の問題は 無論教育だけの問題ではない 
 
戦後教育の中で一貫してあったのは 恐ろしいほどの個人主義で 
 
家庭とか家族が先ず最も大切な基本であると どこにも明記されていない 
 
あれもこれも皆呆れるばかりだ 
 
教育の場で国旗掲揚に異を唱える教師がいたり 
 
有職故実をも 全く軽視している部分があるのではないか 
 
現在国会では教育論議が盛んで またまた改正か改悪か知らないけれど 
 
無為な議論をしているようでしょうがない 
 
急いで強行採決する話ではなかろうと思う 
 
2000年の歴史がある我が日本を 最低百年以上の長いスパンで 
 
教育の根本的な議論で どんなに時間を使ってしてもいいのではないだろうか 
 
最早GHQは存在していないのだから 
 
そして独自の憲法を持つ必要があるのだから 
 
何でも徹底論議をやり尽くせばいいと願う一人である 
 
曖昧さや先送りは 非人道的な無責任さしか生まないものである
 
 
 
 <心の触れ合い> 教育問題を考える時 どうしてもこのキーワードを忘れることは出来ない 
 
その時無着が発した『花の美しさに序列はない』と言う言葉を 
 
しみじみと我が胸に問い掛けるのである この意味する美しさとは 一体何であろうか
 
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