遠野 憧れしもの

 

 

 

 

遠野 憧れしもの 

 

 イーハトーブ・民話の里遠野地方を中心に 『オシラサマ』伝説がある 

何故か県南地方では養蚕の神様で 県北地方では目の神様になっている 

ある時 娘が馬と恋に落ちる そして密かに結婚をするのだが それを知った父親は烈火の如く怒って 

馬を殺し桑の木に吊るしてしまう 娘は嘆き哀しみ その馬にしがみついて離れない 

益々怒った父親は 馬の首をはねた ところが馬と娘は抱き合ったまま 天空高く飛んで行ってしまうのであった 

やがて蚕が天空から たくさん舞い降りて来て そこから養蚕が始まったと言う 

あらかた民話の大筋はそのようなものであろう

 

 そこで桑の木を芯棒にして 女の子と馬の顔を象って 

すっぽりと布を被せ着物とし 一対として御祭りするのである 

首から上を出してすっぽりと被せる貫頭型と全部くるんでしまう包頭型があって 

県北では 目の神様として包頭型の人形が圧倒的に多い 

恐山のイタコの伝統を引き継いでいるのだろうか 

県南では貫頭型で 養蚕の神様になっているのであるが 

三陸地方に行けば 海の神にもなり 青森・秋田にも多く点在している 

祟り神(たたりがみ)として畏れられ 

普段は人目につかない場所に仕舞って置くか 神棚の奥に飾ってある

 

 遠野の『伝承園』では 約1000体のオシラサマが園内の『御蚕神堂』に飾られている 

昭和59年に建てられたこの伝承園には 柳田國男に「遠野物語」を語って聞かせた佐々木喜善さんの

記念館や国の重要文化財の南部・曲がり屋や大小の直屋や「遠野物語」に登場する植物園や染め工房などがあって 

遠野の庶民の原体験が出来ると言うものである 又ここでは囲炉裏を囲んで昔話が実演されていて 

予約しておけばいつでも聞ける 他には遠野市立博物館とか 語り部達がおいでの『とおの昔話村』 

ここには柳田國男が宿泊した『旧高善旅館』や『とおの昔話資料館』などもあるが 

他にも『遠野ふるさと村』などがあって 日本民俗学発祥の地らしい貴重な趣が満載である 

他にも『郷土人形村』やカッパ伝説で有名で清冽な川の流れの『カッパ淵』や『五百羅漢』や『千葉家の曲がり屋』など 

見飽きることがないのである

 

 私が柳田國男の『遠野物語』を読んだのは高校時代 最初は酷く大変な衝撃を受けたのを覚えている 

日本人の側面を鮮やかに見せてくれたからだ 

それから遠野に 或いは民俗学に憧れを持つようになり 但しそこ頃から研究するにしても 

家の事情が赦さなかったし 遠野そのものでは最早遅かった 

多くの先人・先哲がいたのである 

そこで 遠野から少々離れたところにある別な民俗に注目した 

早池峰山々麓の大償と岳の部落に残る山伏神楽に釘付けとなり 

それが私の終生の研究材料になったのである 

当時早稲田大学の本田安次先生しか権威者はいなかった 

私は先生に逢いに行き 先生の著書を読み耽り 丹念に今でも仕事の傍ら勉強をしている 

能楽大成以前の芸能や民俗の事情が ほとんどここに隠されてあったから 面白くて仕方がない 

大學では経営力学を勉強し 主として近代経済学を学んだが 

どちらかと言うと 普段から情緒的な私には この山伏神楽の研究の方が

遥かに昂ったから 面白いものである

 

 この油彩は 20歳の時の作品である 

遠野祭りに出て来る「しし踊り」とオシラサマを題材にした油彩である 

人間生活の中に存在する『しし』性と 彼岸に旅発つオシラサマの一対を描いてみたかった 

この画面を観る人は此岸 画面そのものは彼岸である 

そんな彼岸に対する思いの丈を描いてみたかった 

50号の大きな画面で描いたが 何となく愛着が強く 

それでもなんて素人の絵なんだろうか こんな他愛のない絵の中にでも 

あれこれの思いが内臓されているものである

 

 

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