櫻忌~夭折の系譜

 

 

                                 山形県長井市の久保櫻 樹齢800年

 

 

 

      櫻忌 夭折の系譜

 

 

 3月27日は 財団法人日本さくらの会が1992年(平成四年)に制定した「さくらの日」である 

3×9=27と言う語呂合わせと 七十二候の一つ「櫻始開」が重なる時期であることから 

日本の歴史や文化や風土に深く関わって来た櫻を通して 日本人の文化や自然に関心を深める日としている

 

 私は私なりに 会とは違う方法でやることがある 

櫻とは直接関係はないけれど 毎年やっていることがある 

それは夭折した過去の人々を 先ず深く供養をすることだ 

弘法大師様に 我が家においで戴き 観音経や大般若経を詠み 

故人の霊位に対し 深く供養をすると言うものだ 

その時我が主観で選択した方々の名前を読上げ 淋しかろう魂を追悼をするものだ 

これを『櫻忌(さくらき)』と名付けている もう十年以上も続けているので 

これが終らないと 私は 櫻をこころおきなく観れないように出来ている

 

 夭折(ようせつ)と言う言葉を 広辞苑で開くと 「年が若くて死ぬこと わかじに」 たったそれしか出ていない 

私からすると多いに不満ありだ もっと何か出来ただろうに 不遇の死を受けざるを得なかったと 

ひと言ぐらい付け加えて戴きたいものだと思っているからだ 

永い人の歴史の中で 夭折し 夢を果たし切れなかった多くの人々を思い出す櫻かな と言う訳じゃないけれど 

櫻を眺める時期になると 不思議に 夭折した方々の供養をしたい気持ちで溢れて来る 

櫻が儚いからそうではない 人が儚いからそう思えて来るのだ 

そしてもっと 美しい櫻を見せてやりたかったと こころからそう信じている

 

 樋口一葉は優れた小説家で 紙幣にも使われているじゃないかと言っても 本当に一葉を読んでいるだろうか 

明日をもない過酷な運命を どこに不満をぶつけるわけでもなく 短期間で

あんなに美しく優れた傑作を遺してくれたではないか 

享年僅か24歳 金子みすゞだって 自ら命を絶ったとは言え 夭折者の仲間入りをさせてあげたい 

我々に未だ見えていない何かに あの優しさが押し潰されただろう 26歳であった 

アイヌ神謡集で有名で 且つ叙事詩を書いた知里幸恵は若干19歳 

松井須磨子だって32歳で 島村抱月の後追い自殺をしている これも痛ましい 

北原玲子と言う社会奉仕家が亡くなったのも28歳だ 

学生運動盛んなりし折『二十歳の原点』を書いて亡くなった高野悦子も勿体無かったと思う 

古くは細川ガラシャや楊貴妃だって 若干38歳であった 

忘れてならないのはアンネ・フランク 僅か15歳だった 痛ましい極みだ 

先日話題にした中将姫もそうだったろう 

民俗の中に出て来るオシラサマ伝説のお姫さまもそうかも知れない

 

 男性では大好きな中原中也が30歳 瑞々しい感性が爆発して果てた石川啄木は27歳 

エロシェンコの画家・中村彝が37歳 高村光太郎と並び称される荻原碌山(守衛)が30歳 

『土』を書いた長塚節だって35歳 『ごんぎつね』の新美南吉は29歳 『武蔵野』の国木田独歩だって36歳 

洋画家・青木繁が28歳 同じく洋画家・佐伯祐三30歳 詩人・立原道造は24歳 

瀧廉太郎は未だ23歳だった 梶井基次郎31歳 

『蟹工船』を書いた左翼の小林多喜二は28歳で 官憲によって虐殺されている 今の北朝鮮どうのこうのとは言えまいて 

ヴィンセント・ファン・ゴッホは37歳 我が傾倒する哲学者パスカルは39歳 アルベール・カミュの46歳だって若い 

マッキンリーの山頂に散った植村直巳は43歳 キーツ25歳 スーラ31歳 バイロン36歳 

『櫻の園』のアントン・チェーホフだって44歳の若さだ 

平家物語に出て来る平家の公達達も皆早かった 

敦盛などは僅か16歳で熊谷直実に討たれている 

マルティン・ルーサー・キング牧師も39歳の若さだ 異様に悔しい

 

 私の選んだ人達は総勢379名 一人一人名前と享年を読み上げる 

これだけでも相当な時間が掛かるが これも修行の一つだ 

夭折とは言えないだろうか 向田邦子51歳とオードリー・ヘプバーン63歳も 

我が主観で入れてある 本人達は まだまだやりたいことがあっただろうに

 

 無論玄奘三蔵65歳と 私にとっては偉大なスーパーマンである弘法大師・空海62歳も決して忘れてはいない

 

 夭折の系譜の中で戦場に赴いた者達の寿命は みな極端に短い 

義経31歳 義仲でさえ31歳であった 実朝は28歳で 公暁に殺され 公暁はその日のうちに20歳の命を落としている 

平家の公達もそう 赤穂浪士の面々も同じだ 天草四郎においては若干18歳だ 

数えあげたら まだまだいらっしゃる 戦場は極端に寿命を短くする 如何なる戦争も反対だ

 

 3月27日 『さくらの日』は 私にとっては 修行の日だ 

若くして亡くなった皆さまの魂を 供養する日だ 

それをしっかり終えてから こころおきなく櫻花を見に行くことにしている 

櫻に永遠を嘆じながらであろうか 嫌そうではない 櫻の強さに 彼等とともに 永遠に生きることを誓いあいたい 

櫻のイノチも人のイノチも皆 大宇宙と言う元素の枠の中にあるのだから 

弥勒菩薩さまが見守っていて下さるのだから

  

                                        光厳寺の山櫻 樹齢 不詳

 

 

 http://www.sakuranokai.or.jp/queen/index.html (財団法人日本さくらの会ホームページ)

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