土門拳と雪の室生寺

 

 

 

土門拳と雪の室生寺

 

 

夕べ 東京にも春の淡雪が降った

 土門拳と言えば 今や知らない方々が多かろうと思う

山形の酒田市郊外に 彼の記念館があるが 

彼は畢生の大写真家であり 『古寺巡礼』と言う写真集を

本屋さんで見掛けたことがおありだろう

 

酒田にある記念館のホームページを読んで戴くと

土門拳の概要が分かるので 敢えてここでは申し上げないが

たった一つだけ エピソードを紹介しておこう

 

その昔 高野山は女人禁制であった 

その為に 女性が通える真言宗の御寺は ここ室生寺でしかなかった

 

戦前まで 室生寺には 誰も寄り付きません

少数の女性の信者さんだけだった

戦争の最中 土門は兵隊に行けなかった小さい身体に

悔しさを 目一杯にじませて この室生寺に通い詰めた

戦後間もなく 土門は未だ遣り残したことがあると言って

室生寺に到る手前の太鼓橋のたもとにある橋本屋に投宿していた

 何年通っても 一枚も撮れなかった写真とは

『雪の室生寺』

 

終戦の翌年の春浅い頃

橋本屋に 依然として投宿していた

その頃の写真を言えば 乾版と言って ガラスのフィルムであって

写真家が持つ荷物は 時には 100キロにもなった

 

雪の室生寺を狙って 既に数年

今日帰らなければ と 言って 又一泊

そしてとうとう諦めなければならない時

朝 女将の声で目を醒ました

「土門さん 雪が降りましたよ 起きて 見て下さいな」

 

はっと飛び起きて 脱兎の如く駆け出して撮った写真が 

雪の金堂と鐙坂の写真である 

それはそれは美しい写真である

そうして それを纏め出版し 室生寺が一躍有名になったのである

今日の室生寺への観光客の多さは 

この一枚にあると言っても過言ではない

 

十一面観音菩薩や釈迦如来座像など 名品が数多くあり

日本一小さな五重塔は 美しさにかけては天下一であろう

石楠花も有名で 5月の連休の辺り 満開である

如何にも女性の為のやさしい御寺である

朝早く 観光客が少ないうちに 

そっと行かれるがよかろう

 

土門拳記念館のホームページである

ささ どうぞ 奥へ どうぞどうぞ

http://www.domonken-kinenkan.jp/

 

 

          <注釈> 

巻頭の絵は 櫻灯路の拙いパソコン画で 

石楠花と花蘇芳と山櫻満開の『室生寺・春の五重塔』である 

櫻灯路のプロフィールに使用させて頂いてるお釈迦さまの横顔は 

山内・弥勒堂にあるお釈迦様の木造の座像で 

土門拳が写した渾身の写真を元に 

ペイントショップで描き起こしたものである

 
 
 
口絵 満開の櫻の室生寺・五重塔
広告
カテゴリー: メモリー パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中