日本最古の芸能尽くし

 
      
   日本最古の芸能尽くしの大祭典
 
      奈良・春日若宮神社のおん祭り (12月15日~12月18日)
                   http://www.kasugataisha.or.jp/o_index.html
 
 
 暮れも押し迫った頃 大和士(やまとざむらい)と田楽座(でんがくざ)が 奈良・春日大社の摂社である若宮さんに参詣すると言うおん祭りですが このおん祭りに出される芸能の数々こそ 日本芸能史上に燦然と輝く屈指の大祭典なのであります 先日世阿弥のことを書かせて戴きましたが 実はこの記事を書きたい一念で上梓された記事でありました 世阿弥が活躍した時代には このような古い形態の芸能が 完全なカタチで残っていたであろうと思われ 能楽大成以前には これらの芸能が盛んに入り乱れていたのではなかろうかと 容易に推測されるのあります 舞楽・田楽・細男(せいのう)・神楽・申楽・和舞(やまとまい)・巫女舞(みこまい)・東遊び(あずまあそび)・稚児流鏑馬など 枚挙に暇がないくらい出まして その上奉納相撲や後宴の能楽までもあると言うのですから 驚きです 今から千年もの昔から 大切に引き継がれて行われて来たこのおん祭りに 万一敢えてないとすれば 古い順から 伎楽(ぎがく)・声明(しょうみょう)・風流(ふりゅう/田楽に入れても可)・狂言・歌舞伎・舞踊ぐらいなものでしょう 日本のほとんどの古い芸能のすべてを このおん祭りで一堂に見られるのですから 堪りません こうした混沌とした多種多彩な芸能の中から 現在の能楽が少しずつ醸成され 育って来たものであります そう言う意味から申し上げますと このおん祭りの意義は深く 大変に重要で貴重な祭りに他ならないでしょう
 
 
   ≪ おん祭りの日程 ≫
 
 12月15日 
        午後一時 大宿所祭(おおしゅくしょさい)として 大宿所詣    春日大社にて
        午後二時半~六時 御湯立ての行事                同上
        午後五時 大宿所詣                          同上
 12月16日
        午後二時頃 大和士(やまとざむらい) 宵宮詣          若宮神社にて
        午後三時頃 田楽座(でんがくざ)  宵宮詣            同上
        午後四時  宵宮祭                            同上
 12月17日
        午前0時   遷幸(かんこう)の儀       若宮神社から 参道の芝舞台まで
        午前一時   暁祭                           芝舞台にて
        午前九時  本殿祭                          芝舞台にて
        正午     芸能集団によるお渡り式   興福寺旧跡~一の鳥居~芝舞台へ                        
        午後十二時五十分頃より 南大門交名の儀/最後尾の大名行列が芝舞台にて
        午後一時頃 松の下式            一の鳥居近く 影向(ようご)の松にて
        午後二時頃 競馬                          春日大社境内にて
        午後二時半 お旅所祭                       芝舞台にて
        午後二時半頃より 稚児流鏑馬及び小笠原流流鏑馬   春日大社境内にて
        午後二時半頃より 午後十時頃まで               芝舞台にて
                     神楽・東遊・田楽・細男・申楽・舞楽・和舞など挙行される
        午後十一時  遷幸(かんこう)の儀            芝舞台から若宮神社にて
 12月18日
        午後一時   奉納相撲                      春日大社境内にて
        午後二時   後宴能                        同上
 
 以上が おん祭りの日程の概要です 重要なお祭りが こうしててんこ盛りで執り行われるのです 若宮さんの神様を お旅所へお連れして 管弦・舞踊などをしながら 神人饗応の儀式をし 最後再び神様を 若宮さんにお連れすると言う一連の流れなのです
 
 
    ≪ 見所・聞き所 ≫
 
 ① 宵宮詣 宵宮祭 遷幸の儀
 
 12月16日~17日に掛けて 一つの流れがあります 午後二時から 大和士(やまとざむらい)や田楽座(でんがくざ)が 若宮神社に行き 参拝する行事です 午後四時には 春日大社本殿と若宮神社の祭典が 無事に挙行されるように祈る宵宮祭が 引続いてあります 社殿は御幌(みほろ)と呼ばれる白い布で覆われます その後ですが 最大の見所があります 夜半十一時半頃 春日大社の宮司と神職の方々51人が 若宮神社へと向かいます 宮司が 本殿内に入ると 神職達は白い手袋を着け 榊を手に持って 本殿下で待機します 午前0時ピタリに 境内の明りと言う明りはすべて消されます 楽人(がくじん)による『乱声(らんじょう)』の笛の音が絶え間なく奏される中 宮司が 御殿に昇り 秘文(ひもん)の祝詞を奏上した後 若宮神が出御(しゅつご)されるのです
 
 その後です 神職達が「オォ~~ オォ~~」と言う警蹕(けいひつ)の声を出すのですが ここが素晴らしい感動する場面です 若宮神は神職の持つ榊で 十重二十重(とえはたえ)と囲まれて 参道を 一の鳥居の方向にあるお旅所(おたびしょ)へ進むのです 先導役が 若宮神が歩く道を 綺麗に清めるように 松明(たいまつ)を引きずりながら 進んで行くのですが 神がいらっしゃることを実感出来る瞬間で 感動のあまり何度か涙をこぼしたことがあります そうして若宮神は 芝舞台(9㍍四方ある天然の芝で出来た舞台)の中央にある祠に移られるのです 最初の聞き所見所でしょう
 
 
  ② 暁祭(あかつきさい)
 
 午前一時頃 若宮神社から 約1キロ離れた一の鳥居近くのお旅所に 一行が到着すると お旅所前の瓜灯篭(うりとうろう)に火が点され 芝舞台にも篝火(かがりび)が焚かれます お旅所へ神が移った象徴として 盛り砂の上に 松の枝を立てられます この厳かな瞬間は堪らない魅力です 暁祭の最後に 宮司による祝詞が終わると 神聖な巫女達によって 社伝神楽が奉納されるのです 新鮮で 澱みない空気が 張り詰めたように ぴ~~んとしていて 厳粛な一瞬です 泣きたくなるような美しさです
 
 
  ③ お渡り式 お旅所祭
 
 お旅所で待つ若宮神のもとへ 日使い(ひづかい)や巫女や芸能集団が 行列を作ってやって来ます この祭だけは 興福寺主催となっています ですから旧興福寺境内から出た行列は 三条通りを 旧南大門跡を通り 一の鳥居へと進んで来ます 一の鳥居をくぐり 春日宮に向かって 右側に 影向(ようご)の松と呼ばれている松があります この松は 何を隠そう あの能舞台の松そのものなのです ここを通り過ぎる時 芸能集団は 必ず ひと節か一定の舞を この松の前で舞います 松の下で演じられるので 松の下式と呼ばれている仕来りになっています すべての能舞台は これを模して作られているのです 是非ご理解下さいね そうしてここで待って見ていると 日本の古き芸能のほとんどが見れることになるのですから 嬉しいですね おん祭りの一大イベントの最大の見所でしょう 
 
 
 以上の三点の見所聞き所を披瀝致しましたが まだまだこのおん祭りには 熱心に見れば 見るほど深い神域があります 但しおん祭りは 信仰に一環としてあるものですから 若宮神のお旅所へ行く時など 特に写真撮影は禁じられています お旅所内や影向の松の前などは 自由ですが 信仰の行事のお邪魔だけは避けたいですね 更に効率的に御覧になられるとしたら 16日の午後四時から始まる宵宮祭から 次の日の夜十一時の遷幸の儀まで 一連の行事として御覧になられたらいいでしょう 16日の宵 神聖な芝舞台で 寒い夜を神とともに厳かに過ごされるとしたら ホテルは17日の一泊でよろしいかと思います 未だ学生時代でしたので 私は何度もこの強行一泊を経験しておりますが 神とともに 夜明けを待つのは いいものですよ 未だこれからの日程で 行かれる方がいらっしゃったとしたら この記事も歓んで戴けるでしょうか
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