今時分 菊花香れる

 
  櫻とともに 日本人が愛してやまない花に菊花があります そろそろ今年の菊花も終わる頃でしょう 九月九日を重陽の節句と言って 五節句のうち最後で 菊の花の節句ですね 菊にあやかって 長命を願う行事です 無論陰暦での九月ですから 新暦では月遅れ 十月の半ば過ぎになりましょう 今年数多くのブログで菊花展が紹介されておりました 菊祭りは 今でも南から北まで 列島ずっとあるようですね 十二世紀後鳥羽天皇が菊花を愛されてから 天皇家の象徴として紋章などに使われて来たものですが それが案外新しい決め事ですから 面白いんですよ 太閤秀吉が秀吉自身と天皇家以外使用しないようにと 臣下にお触書を出しています ただ江戸時代になりますと 菊花は宮廷からおろされ 民間に栽培することが赦され 多くの方々に栽培されるようになったようです 但し明治に入って 太政官布告によって 菊花のご紋章は 天皇家の独占になりました もしそれを使った場合は 不敬罪として厳しく断罪されたようです その上 大正十五年皇室儀制令では 皇室のご紋章として法制化されたのです  戦後それもなくなり 少なくても菊花にとってはいい時代になりましたが さすがにご紋章だけは 習慣・慣例として 天皇家のものでしょうか 十六葉八重表菊型は 天皇・皇后・皇太子が使用し 他の宮家は 十四葉一重裏型が使用されています 処が実際は 色んなところで使用されておりまして 国会議員バッジ 警視庁の徽章 日本国パスポート 果ては日本酒の或るメーカーにも 京都競馬場で行われる菊花賞のレースの果てまでよく使われています 結構なことではないでしょうか
 
 菊花の中で 厚物(あつもの)と言われる花の栽培に 驚くほど熱心な御仁が多いようです 花弁が盛り上がった盛り咲き 花弁の下方の列が長く開き出しをする走り咲き 手のひらで掴んだように花弁を巻き込む掴み咲き それらはみな大菊と呼ばれる物であるらしいです 確かに見事ですが どうも趣味から言ったら 私はそう好きではなくて弱ったものです 花弁が管状になるものもあり 太管・間管・細管・針管と分けられていて それぞれに名前がついて 凌ぎを削っているように思われます 私が好きな嵯峨菊は中菊の中に入り 大菊とは完全に違うようです 小菊は 野生に多種多様に多く 中でも懸崖(けがい)と言って ダラダラと流れる小菊は 菊人形などに使われるようですが この菊人形もそれほど好きなものではありません 何故なんだろうか ノジギク・ハマギク・リュウノウギク・イソギク・アワコガネギクなど 小さくても頗る美しい小菊がたくさんあるからでしょうか ノコンギクは大好きな菊の花です
 
 私が 真冬のリヨンに行った時 ローヌ川の街外れを歩いていると 今まで見たことがない小菊を見つけました ようく辺りを見ると 結構な種類の菊花があるではありませんか 驚いて 一緒に歩いて来たフランス人に このウス紫の小菊の名前を聞くとびっくり 直訳すると浜寒菊と言っておりました 海岸にはほど遠いリヨンに 何故浜なのか 大いに興味をそそられたものです 背は低いものの 美しい凛とした菊花でした 上記写真の菊花は 日本にあるホソバコンギクと言いますが これとちょっと似ているかも知れません 菊花は本場中国と 精々韓国かなぁと思っていたら どうしてどうして こっちの方が本場だと言い張って聞かなかったのでした 主に中央ヨーロッパと北米に生息していると言うのです 何はともあれ 美しいその菊を愛でて その場は過ぎましたが その夜はちょうど大晦日で 真夜中にはもっと盛大な菊が咲きますよとしたり顔で 彼は言うのです カウントダウンが始まって リヨンの中心に位置するベルクール広場に 人々が三々五々集まって来ました すると夜空に大きな花火が ドドゥ~~ンと打ち上げられました お腹に響く大音響です 歓喜に沸く中で 見知らぬ人ともキッスをすると言うのですが 私はそれだけは勘弁してと言って 冬の夜空に咲く大輪の花を ずっと眺めていたものでした
 
 山形にモッテノホカと言う食用菊があります スーパーでもよく売られているはずです 紫色をしていて 苦くないので 歯ざわりがよくなかなかのものです はながすみさんのBlogには 新潟特産カキモモトとして御紹介されていましたが 多分同じものだろうと思われます 花弁をむしりとって塩茹でし 浸し物・酢の物・和え物とします 葉は天麩羅にして食し 独特の風味はなかなか美味しいものですね 菊花は香りがいいので お酒に花びらを浮かべて飲むのも好きな飲み方の一つです 祖母は仏壇に上げられていた他の菊花もよく茹でて食べていましたが これが本当に苦くてまいってしまいます 但し薬用にもなるようで 菊花エキスに 糖・ビタミンC・フレーバーなどを添加すると 結構いけましたね 祖母は菊花を薬酒にしても 飲んでいたように思います 解熱・鎮痛効果があると言って 眩暈や頭痛を抑えると でも祖母は それを理由に 大好きな酒を飲む口実にしていたかも知れませんね
 
 『御伽草紙』に伝わる菊の花のお話を紹介しておきましょう 昔かざしの姫と言う美しい姫君がいました こころ優しく 草花を愛し 特に菊の花を愛されたのです 或る秋の宵 美しい菊花も冬になると 枯れ果ててしまうなぁと 愁い哀しんでいると どこからともなく一人の美しい青年が現れます そこで姫君に「などか露ばかりのお情けもなからまじや」と熱心に恋心を伝え それを契機に二人は愛し合うようになるのですが ちょうどその頃朝廷で行われる『花そろえ』の行事に かざしの姫の父中納言どのが いとおしく育てて来た菊花を献上することになったのでした するとその晩 青年は 姫君に「私は菊の花の精だ」と名乗るのです 二人は涙を流して別れるのですが 献上された菊花とともに もう二度と姫君の御前に現れることはなかったのでした 処が 既に姫君は身ごもっていて 無事可愛い女の子を産むのですが この子は限りなく美しく成長し 評判が評判を呼び 朝廷まで聞えるようになったのです そこで時の帝は そのことを聞きつけ その子を参内させ 女御としてご寵愛されたとか 菊にまつわる御伽話ですが 残酷なお話なのか いいお話なのか 私にはよく理解出来ないままでいます
 
 今日はボージョレ・ヌーボゥ解禁の日 早速当社のウワバミ役員どもが お昼自宅に数人やって来て 仏壇にあげたたった一本を除いて 綺麗さっぱりと 20数本を飲んで帰ってしまいました 飲みたくても 未だ飲めない私に 少々残忍な仕打ちではないだろうか と やや腹立ち紛れに 時期も終わり掛けた菊花の話題を一気に書いて見た次第です ちょっとヘソ曲がりでしょうか でも あああ~~ 飲みたかったけれど まぁ私から 呼んだので仕方がないけれど ぐっと我慢を出来たのでした 正月には 幾らかでも許可が下りますように 頑張りたいし 午後の検診では これから先車椅子は 一切不用とあいなりました それがせめてもの救いでしょうか 昨日の山歩きが効いたのでしょうか 
 
 今宵の月は十六夜の月 見事に煌々と照り輝いています
 
                 口絵は 大好きなノコンギク
 
 
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