夏 水菓子仄か 揺れ行灯

 今頃 京都の町衆たちは 山や鉾を釘を使わず 縄だけで組み上げているのだろう 愈々祇園さんの本番が近い 祇園さんの楽しみには 山鉾巡航だけではない 今日は10日 お迎え提灯の巡航があるだろう 休み山と言って 今は巡航には加わっていないが いずれ復活を願う町衆によって 通りを歩く人々に 残った数少ない山を披露していることだろう また屏風祭りと言って 各家ごとに 家宝の屏風などを展示する日もそろそろである 八坂さんのお印が 提灯に描かれてある この頃になるときゅうりをぱったりと食べなくなる 八坂さんの紋が きゅうりの輪切りとそっくりだからである 蓮花寺では ちょうどこの時期にきゅうり封じと言って 弘法大師所縁の行事があるはずだ 京都には永く付き合って来たが 未だに知らないことが多い 今年 円山公園では 宵々山コンサートもあると言う 鵜飼と言えば岐阜・長良川と相場は決まっているが 嵐山の景勝地でも 9月いっぱい行われるものと忘れてはならない 今年もわくわくする祇園さんのが近いのだ
 
 盆地でただでさえ暑い京都の夏に 欠かせないのが様々な夏の和菓子であろう 喉越しのいい爽やかさな夏の和菓子には目がないのである 先ず代表格は水無月であろう 白黒のういろうの上に大納言を散らし 氷をかたどって 三角形に切った淡白なものである 砂糖は入っているが 口に 
べとっとすることはない わらび餅もいい わらびの澱粉を使ったつるりとした食感が堪らない これらは上七軒の老松のが好きだ 笹屋伊織のさっぱりとした黒豆煎餅も好きだ 下鴨河原町の長生堂長寿庵の 鴨川に見たてた大納言を ただ寒天でくるんだ菓子は実にさっぱりしてていい 八坂
さんの通りにある鍵善良房の葛きりも見逃せない 特にここの葛きりは黒蜜を掛けて食す 堪らない味だ 近くまでご案内したので 南座側にある茶寮都路里もついでに紹介しておきたい 抹茶パフェで大人気なのである 白玉クリームあん蜜を一番の定番にしている祇園小森はしっとりした町屋
の佇まいの中で 落ち着いて頂けるのがいい
 
 かく言う私の自宅では 源吉兆の竹筒に入った水羊羹は欠かせないそして最も重要なお客人に出すものと言ったら 櫻の花びらの流しものだろう 夜中じゅうクルマを運転し 奥日光まで峰櫻か高嶺櫻の花びらをわざわざ取りに行く そしてロゼワインを吉野葛で溶いた中に 一ひらづつ櫻の花びらを入れて行くのだ 細く高いワイングラスに それを入れる 何故とあっと驚く客の顔が 実に楽しいのである 都心から往復500キロの疲れもすっ飛んでしまう 櫻の枝をルーペで覗くと 着々として来春の花芽をつけているこんな時期に 櫻の花の流しものだから 愉快なのである
 
 天幕の奥に カサブランカの花が咲いている 祇園囃子が鳴り響く 淋しそうな音だが どこか華やいでいる 屏風が絢爛たる往時の京都を思わせる 休み山 屏風祭り そして本番の山鉾はシルクロードから遠く渡って来た金銀の緞子が光る 前祭りの鉾9基 山14基 後祭りの山9基が一斉に練り歩く 最も混む場所を追い掛けるか お池通りと新町通りの交差点付近の隠れた穴場で見るか さて八坂さんで行われる鷺舞・田楽舞・石見神楽を見に行こうか 迷いながらわくわくとするところであろう そんなこころが急く時に ふっと甘味を食べたくなるのだ 串団子を連ねたような祭りの提灯が 甘味処に誘う そして鴨川から遠慮がちに吹く風に どことなく揺れているのは気のせいだろうか
 
 
 
  口絵  祇園囃子  稚児が注連縄を切る
        
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