文月 秋はじむるの花

 7月の異称は 秋のつく名が多い 初秋 新秋 上秋 桐秋 旧暦で秋の初めであった名残だ 然し相月 親月 涼月 蘭月 文月の方がピンと来る もっと言えば 七夕月 愛逢月(あいぞめづき) 女郎花月(おみなえしづき)などは ぐっとロマン派の異称でもあろう 
 
 愈々夏本番 日本各地で血を躍らせる祭りが目白押しである 鬼灯市(ほおづきいち)から 始まって朝顔市 そして阿蘇の御田祭り 天満祭り 博多祇園山笠 靖国神社みたま祭りや新盆もある 吉野の蛙飛び 出羽三山の花祭り 厳島神社の十七夜祭及び管絃祭 那智の火祭り 京都・祇園山鉾巡航 津島祭り 御陣乗太鼓 木曾踊り 相馬野馬追い 真如堂寺宝虫払会 津和野の鷺舞など 数え上げたら限がない 
 
 これも数え上げたら限がないのは 各地での祇園祭り系統であろう 祇園会(ぎおんえ)とは この時期各地に疫病が流行った その疫病の厄病神をお招きして なだめすかして 逆に疫病の守り神にした 逞しい由縁であったからだ 博多祇園山笠 成田山祇園会 小倉祇園太鼓 松坂
園祭 江津祇園祭 戸畑祇園大山笠 須坂祇園祭 更に この他にも祇園祭の名前がついた祭が 全国各地に数多く見られる 疫病退散のお願いをするためであった この時期ならではの特徴ある お祭りなのである 京都の八坂神社を中心として 京都祇園祭りを頂点としているが これらほとんどが 全国に広がった八坂神社系統の祭りであると言えなくもない
 
 真夏に 木陰に入って 強い陽射しを避難しながら よく風景画を描く 描く対象に 雲がある 特に僕の風景画のモティーフに 雲は欠かせない 十種雲形と言って 変化が多い雲を総称しているが それら 雲ごとになかなか面白いのである 千切れ雲 朧雲 入道雲 横雲 叢雲(むらぐも) 蜜雲 断雲 乱雲 雲の峰 彩雲 瑞雲 青雲 紫雲 妖雲 鰯雲 鯖雲 白雲 薄雲 浮雲 綿雲 雲海などなど 見飽きることがない空の雲ばかりである 雲はチカラをいっぱい溜めて生きているのである 
 
 花は 木槿 百日紅 カンナ 芙蓉 鳳仙花 向日葵 水引草 花蓼 ゲンノショウコ オトギリソウ デイゴ コガマ クルマユリ 夾竹桃 石榴 ダリア 睡蓮 葉鶏頭など どの花もチカラがあって ドキドキさせる 特に葉鶏頭には感心せられる 幾ら描いても描き飽きないのである 徐々に秋の
気配もしのびよって来ることを 少しずつ暗示させてくれる
 
 旬の魚も多い 川蝦が跳ねる 真蛸が這う 雲丹は 馬糞と紫がある 鯵(あじ) 鶏魚(いさき) 疣鯛(いぼだい) 間八(かんぱち) 魳(かます) 鱸(すずき) 太刀魚(たちうお) 鱧(はも) 蜆(しじみ) 穴子(あなご) 何でも美味しいし それぞれの味に それぞれのチカラがある
 
 芋茎(ずいき) 冬瓜(とうがん) 蔓菜(つるな) 葉隠元 花穂紫蘇 茗荷8みょうが) オクラ 青柚子(あおゆず) 青林檎(あおりんご) 韮(にら)なども 旬になり 格別の美味しさだ
 
 スイカ 苔桃(こけもも) グミ 葡萄 梨などのフルーツも 見逃せないそのうち 花火がトントトトンと上がって 夜空にまたたく光のページェント 高温多湿の日本の風土に 結構チカラ強いこの季節は 四季の中でも出色のパワー全開に展開するのである
 
 孤独を感じる間がないのだ 季節はピークに立とうとしている 新盆があって そこそこに淋しさもあるが 夏の雲に誘われるようにして 旅こころ ここにあらずの日々が続くのである そうだっ あのあっつい 京都に行こう京都駅頭に 既にコンチキチンと涼やかなお囃子の音色が響いているに違いない 今日行けなかったら 少なくとも どこかで夏の旬 大きな粒の岩牡蠣でも食べようと思う 冷ややかな冷酒も 独りで飲むといい 
 
                    口絵
                    櫻灯路の自画像と葉鶏頭たち
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